客単価を上げる方法値上げではなく
「高くても選ばれる理由」
をつくる
「客単価を上げたい」と考えたとき、単純に現在の商品を値上げすることから考えがちですが、その前に自社の価値やターゲットから整理する必要があります。
単価について相談を受けた場合、まず調べるのは、その地域で一番高い同業者です。
例えば、自社が5,000円、地域の平均が5,000〜6,000円だったとしても、10,000円、15,000円で集客できている同業者がいるかもしれません。
そこで見るのは価格だけではありません。
- なぜ、その価格でもお客様が来ているのか
- どんなお客様が、その価格を払っているのか
- 何を理由に選ばれているのか
を分析します。
「安ければ売れる、高ければ売れない」という考え方で価格を決めないようにしています。
今は、安くても売れないものはありますし、高くても売れているものはあります。
客単価を上げるためには、価格だけを変更するのではなく、ターゲット、商品・サービス、提供する価値、見せ方まで含めて考える必要があります。
今回は、どのような順番で客単価を上げていくのか、実践手順として説明します。
地域で一番高い同業者を調べる
最初に、その地域の同業者の価格を調べます。
このとき、平均価格を知ることも必要ですが、特に注目するのは「一番高いところ」です。
例えば、整体院を調べて、以下の価格だったとします。
A院 4,500円
B院 5,000円
C院 6,000円
D院 10,000円
一般的な相場だけを見れば、「この地域では5,000〜6,000円くらい」と考えるかもしれません。
しかし、D院が10,000円でも実際に集客できているのであれば、この地域には10,000円を払って整体を利用している人がいるということです。
ここで、「10,000円は高すぎる」と判断して終わるのではなく、「なぜD院は10,000円でも選ばれているのか」と考えます。
単価を上げたいときには、地域の平均価格だけで自社の上限を決めるのではなく、高価格でも成立している事例を確認することから始めます。
なぜ高くても集客できているのかを分析する
次に、高価格でも集客できている同業者を詳しく見ていきます。
ホームページ、SNS、口コミ、商品内容、料金、実績、サービスの提供方法などを確認します。
見るポイント
- どんなお客様をターゲットにしているのか
- どんな悩みや要望に応えているのか
- 何を強みとしているのか
- 一般的な同業者と何が違うのか
- 商品やサービスに何が含まれているのか
- ホームページやSNSで何を伝えているのか
- 口コミでは何が評価されているのか
例えば、5,000円の整体院では肩こり、腰痛、骨盤矯正など幅広く対応している。
一方、10,000円の整体院では特定の悩みや客層に絞り、検査、施術、説明、セルフケア、アフターフォローまで含めたサービスを提供している。
こうして比較すると、同じ「整体」でも、お客様から見れば違う商品として認識されている可能性があります。
高い同業者を調べる目的は、その店を真似することではなく、その価格を払ってでも選ばれている理由を見つけるためです。
そこに、自社の単価を上げるヒントがあります。
高い価格でも利用するターゲットを決める
次に考えるのが、「誰に売るのか」です。
価格帯が変われば、利用するお客様も、商品に求めるものも変わります。
この違いは、寿司店で考えると分かりやすいと思います。
例えば、同じ地域に次の3種類の寿司店があるとします。
安い回転寿司
家族で気軽に利用したい、好きなものを自由に食べたい、価格を抑えたい、短時間で食事をしたい。
こうしたお客様にとっては、価格、気軽さ、速さ、メニューの豊富さなどが選ぶ理由になります。

一般的な地域の寿司店
回転寿司より多少高くても、職人が握った寿司を食べたい、美味しい魚を食べたい、家族や夫婦で落ち着いて食事をしたい。
この場合は、価格だけではなく、味、鮮度、職人の技術、店の雰囲気なども選ぶ理由になります。

コースメニュー中心の高級寿司店
一人3万円、5万円という価格でも利用する人がいます。
良い食材を味わいたい。職人の技術を楽しみたい。大切な人との記念日に利用したい。接待で使いたい。落ち着いた空間で特別な時間を過ごしたい。
こうしたお客様が購入しているのは、寿司だけではありません。
食材、仕込み、職人の技術、料理が提供される順番、接客、空間、そこで過ごす時間まで含めて価値を感じています。

3店舗とも「寿司を売っている」という点では同じです。
しかし、ターゲットも、利用目的も、求められている価値も違います。
さらに、同じ人でも利用目的によって選ぶ店は変わります。
普段、家族で食事をするなら回転寿司を選び、結婚記念日なら高級寿司店を選ぶ人もいるでしょう。
つまり、単純に「安いから回転寿司、高いから高級寿司には行かない」という話ではありません。
何を求めているかによって、払ってもいいと思う価格が変わるのです。
単価を上げたいのであれば、「今のお客様に、もっと高い金額を払ってもらう方法」だけを考えるのではなく、
「高い金額を払ってでも利用したい人は誰なのか」
を考える必要があります。
ターゲットが何にお金を払うのかを考える
ターゲットが決まったら、その人が何に価値を感じるのかを具体的にします。
例えば整体院でも、「できるだけ安く施術を受けたい人」と、「多少高くても、自分の身体をしっかり見てもらいたい人」では、求めているものが違います。
後者であれば、専門性、検査、説明、施術内容、アフターフォロー、予約の取りやすさ、プライベートな空間などに価値を感じるかもしれません。
ここで大切なのは、売り手が「これには価値がある」と決めるのではなく、ターゲットとなるお客様が何に価値を感じるのかを考えることです。
高級寿司店の例でいえば、単純にネタを高級にすればいいという話ではありません。
高級寿司店を利用するお客様が求めているものが、食材、技術、接客、空間、特別な時間なのであれば、それらを含めて商品を考える必要があります。
単価を上げるためには、高い価格を払う人が何にお金を払っているのかを理解する。
ここが商品づくりの基準になります。
ターゲットに合わせて商品・サービスをつくる
次に、そのターゲットが欲しい商品・サービスを具体的に設計します。
例えば現在5,000円の商品があるからといって、それをそのまま10,000円にする必要はありません。
現在の商品とは別に、より専門性の高い上位商品をつくる方法もあります。
複数のサービスを組み合わせる、サポート内容を増やす、提供方法を変える、継続的なプランをつくるなど、方法はいろいろあります。
ここでも順番が大切です。
「10,000円の商品を作りたいから、何を追加しようか」
ではなく、
「このターゲットは何を求めているのか。その要望に応えるには、どんな商品が必要なのか」
から考えます。
その結果として商品内容が決まり、その商品に合った価格を設定します。
単価を上げることを目的に商品を作るのではなく、より高い価値を求めるお客様に合わせて商品を作る。その結果として単価が上がるという考え方です。
高くても選ばれる理由を伝える
商品を作ったら、その価値をお客様に伝えます。
5,000円の商品と10,000円の商品があって、説明を読んでも違いが分からなければ、お客様は価格で比較するしかありません。
- 誰のための商品なのか。
- どんな悩みや要望に応えるのか。
- 何が含まれているのか。
- 利用することで何を得られるのか。
- 一般的な商品とは何が違うのか。
- なぜこの価格なのか。
価値を分かりやすく伝えることで、今まで興味がなかった商品でも興味を持ってもらうことができます。
そしてその価値を、ホームページ、SNS、広告、店頭、営業、接客など、お客様が商品を知ってから購入するまでのさまざまな場面で伝えていきます。
「自分が求めているものがここにある」「だからこの価格なのか」と納得できる理由をつくることが必要なのです。
客単価を上げるなら「誰にどんな価値を売るか」を変える
単価アップのステップをまとめてみました。
STEP1
地域で一番高い同業者を調べる
STEP2
なぜ高くても集客できているのかを分析する
STEP3
高い価格でも利用するターゲットを決める
STEP4
その人が何にお金を払うのかを考える
STEP5
ターゲットに合わせて商品・サービスをつくる
STEP6
高くても選ばれる理由を伝える
単価を上げるというと「今の商品をいくら値上げできるか」という話になりがちです。
しかし、価格帯が変われば、ターゲットも、求められる商品も、選ばれる理由も変わります。
安ければ売れる、高ければ売れないとは限りません。
安くても高くても、売れるものは売れますし、売れないものは売れません。
「誰に、どんな価値を提供すれば、その価格でも選ばれるのか」から考える。
その順番でターゲット、商品、価格、伝え方を組み立てていくことが、客単価を上げる基本だと考えています。
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